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「防災の日」に思ったこと

昨日9月1日は、「防災の日」でした。1923年(大正12)9月1日に関東大震災が発生したこと、この日が暦の上で台風の多い二百十日に当たることから、1960年(昭和35)に制定されました。
明治・大正期のジャーナリスト、宮武外骨がその関東大震災から3週間あまりで初号を緊急出版し、以後4ヵ月にわたって発行しつづけた『震災画報』。そこには、当時の悲惨な被害の克明な記録と復興へ立ち上がる人々の力強い姿、あるいは犯罪や非道な行為に走る浅ましい姿があますところなく描かれています。その中には、物資や人員が不足する中で第1号の印刷に奮闘する外骨自身の苦労の一コマも。

......、「浅草観音の観の字と、噴火の噴が見当たりませぬ」といえば、「オイよし」と沢山ゲラ箱に無暗と詰込んである活字の中からそれを発見して渡す。天に冲すの「冲」が足りないといえば、「沖」の字の三水を二水に削って渡し、また「江」の不足には「注」の頭と横線を削り、流言の「流」がないといえば言を除き「ウソ」に代えろ、「吹聴し」がなければ「触廻り」に改めろ、というような改削融通の魂胆、......(宮武外骨『震災画報』44頁より、ちくま文庫、2013年)

活字を組んで印刷していた当時の苦労がしのばれます。現在はあらゆる情報がインターネットで瞬時にやりとりされる時代ですが、厳しい状況でもあらゆる情報を記録し、後世に伝えるために全力を注ぐという外骨の姿勢は、常に心にとどめておくべきものだと感じました。

編集 Y
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| 2014.09.05 | | comment(0) | trackback(0) |
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